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0079年11月9日
地球連邦軍の猛攻の前にオデッサ防衛線は崩壊、ジオン公国軍は敗走を開始。
一方で司令部の大半は敗走直後に脱出してしまい、取り残されたジオン将兵達は自らの生存のため残されたHLVに殺到していた。
その中で姫熊りぼん少尉は部隊からはぐれ単独で脱出を目指すことになってしまう。
「でやあぁ!!」
掛け声と共にピンクカラーのグフがヒートソードをジムのコックピットに突き立てる。
数度痙攣でもするかのように手足が動くとジムは完全に機能を停止する。
「はぁはぁ・・・」
脱出用HLV捜索中に遭遇したジムを撃破し周囲を見回す。
どの発射台も既に打ち上がった後であり、乗り込めそうな機は無さそうだった。
「はぁ、流石に残弾も心許なくなってきたかな。」
追撃部隊の迎撃時に部隊からはぐれてしまった為に補給を受けるが暇がなく、単独での連戦にいよいよ機体が限界を迎えようとしている。
「いやいや、諦めちゃダメ。
思ったほど連邦MSの練度は高くないし、何とかなるよね」
ネガティブになりそうな思考を頭を振ってリセットする。
『だ、誰か助けてくれ!!
直援がやられた!!
連邦のMSがすぐそこまで来てる!!
このままじゃ飛び立つ前にやられちまう!!』
無線から悲鳴にも似た声が急に轟く。
「・・・あっちか」
僅かな思考の後迷うことなく愛機を通信のあった走らせ始める。
HLVを視界に捉えたとき既にジムの一機がHLVを撃たんとしている瞬間であった。
「間に合えええぇぇぇ!!」
咄嗟にヒートロッドを伸ばす。
それは的確に武器持つ腕を捉え、切り飛ばす。
間一髪で放たれたビームはHLVをわずかに逸れ、空へと消え去っていく。
「てええぇぇい!!」
急な割り込みに対応が遅れるジムにバーニアで加速した勢いを乗せて跳び蹴りを喰らわせる。
倒れ込んだジムのコックピットにフィンガーバルカンを撃ち込み留めを指す。
『……と…!
……かった!!』
目前でカウントを終えて飛び立って行くHLVをノイズまみれ通信を聞きながら見送る。
「あーあ、行っちゃったかー」
特に後悔する様子もなく見上げた後、向かってくる後続のジム二機を見据えバーニアを吹かし始める。
「とりゃあぁぁぁぁ!!」
ジム隊のマシンガンの弾幕を小刻みな左右移動とシールドで致命傷を避けて肉薄する。
一気に接近したことで反射的にシールドを構えた右側のジムに勢いのままシールドバッシュの要領で体当たりをして弾き飛ばす。
僚機が弾き飛ばされたことで側面を取られたもう一機が対応するより早くヒートソードで袈裟斬りにする。
対象の撃破を確認する間もなくヒートソードを持ち直し倒れ込んだジムに投擲する。
投擲されたヒートソードはジムのシールドごとコックピットを貫く。
「はぁぁぁー・・・」
二機のジムを撃破し大きく息を吐く。
「まだ、いける、かな」
被弾が積み重なりつつあるが未だ答えてくれる愛機の状態を再確認する。
「早く移動しないと」
再び連邦軍が集まってくる前に移動すべく先程投擲したヒートソードを拾う為にしゃがみこむ。
「ッ!にゃぁぁぁっ!!」
その瞬間複数の小型ミサイルがヒートソードを拾おうとした腕に直撃する。
咄嗟にシールドを構え身を隠しつつ周囲を伺うと、陸戦型ジムが三機接近しつつあるのが見える。
きちんと連携した動きからベテランであることが伺える。
ここまでの戦闘でシールドも限界に近付いており、長くは持たないことは明白であった。
「ここまでかぁ…ん?」
いよいよ最後を覚悟したとき、自分とジム小隊間の間に背後から数発のバズーカ弾が着弾し土煙が視界を遮る。
振り返ろうとした瞬間赤いMSが凄まじい速度ですり抜ける。
突如現れた新たな敵機にジム小隊が反応し迎撃するが、尋常ならぬ高機動で弾幕を掻い潜り接近していく。
ジムの一機がビームサーベルを片手に前進してくると、両肩のバズーカを放棄して腰のショットガンとチェーンマインを抜き放つ。
ビームサーベルのひと振りを脇をすり抜けるようにかわしそのまま背後からチェーンマインを巻き付け、反対のショットガンで二機目の頭部を吹き飛ばす。
更に勢いそのままに回転しながらビームサーベルを逆手に抜き三機目のジムをすれ違う様に両断、最後に頭部破損からようやく立ち直った二機目のジムのコックピットにビームサーベルを突き刺し止めを刺す。
長いようで短い一瞬の静寂の後戦闘態勢を解いた赤いケンプファーが様子を伺う様に振り返る。
(赤いMS、赤い彗星?
でもオデッサに参戦してるなんて聞いてないけど…)
「あ、あの、ありがとうございます」
状況に混乱しながらも話し掛けると、明確な返答こそ無かったものの片手を上げて合図をすると再びバーニアを吹かして何処かへ飛び去っていってしまう。
「何者だったんだろう」
首を傾げていると一本の通信が舞い込む。
『こ…ら、……隊
…番か…う庫で脱出可能な潜水艦を確保。
連邦軍の追撃が迫っているが取り敢えず今は安全が確保出来ている。
ギリギリまで待つが次の便があるとは限らない、この通信を聞いた者は大至急合流せよ。』
脱出手段の確保
この通信は折れかけていた心を立て直すには十分だった。
「お願い、もうちょっとだけ頑張って」
いよいよダメージも限界に達しているグフだが、パイロットの思いに答えるように再び立ち上がる。
「よしよし、なんとか合流まで持ちこたえてね」
簡単なダメージチェックを終えると通信のあった合流地点へと歩き始める。
「さあ、二人で生き残るぞ」
to be continued?
おまけ
姫熊少尉は無事友軍と合流し、キリマンジャロベースへ撤退
その後の詳細な戦歴は不明であるが、アフリカ地域の一部でピンク色のMSによる連邦軍部隊の襲撃報告が多数ありその神出鬼没さから現地部隊に”薄紅色の人喰い熊【ローゼンベアー】”と呼ばれており同少尉の搭乗機と推定される。
姫熊りぼん少尉オデッサ防衛戦戦績
MS撃破数 13
61式戦車撃破数37
簡単キャラ解説
・姫熊りぼん少尉
第一次地球降下作戦以降ユーラシア大陸東部で従軍したベテランパイロット
・ピンクカラーグフ
姫熊りぼん少尉の愛機
専用化改造はなされていないものの、パイロットの強い要望によりカラーリングのみパーソナルカラーが施されている。
・赤いケンプファー
所属不明のエース一体何ヤスなんだ。
地球連邦軍の猛攻の前にオデッサ防衛線は崩壊、ジオン公国軍は敗走を開始。
一方で司令部の大半は敗走直後に脱出してしまい、取り残されたジオン将兵達は自らの生存のため残されたHLVに殺到していた。
その中で姫熊りぼん少尉は部隊からはぐれ単独で脱出を目指すことになってしまう。
「でやあぁ!!」
掛け声と共にピンクカラーのグフがヒートソードをジムのコックピットに突き立てる。
数度痙攣でもするかのように手足が動くとジムは完全に機能を停止する。
「はぁはぁ・・・」
脱出用HLV捜索中に遭遇したジムを撃破し周囲を見回す。
どの発射台も既に打ち上がった後であり、乗り込めそうな機は無さそうだった。
「はぁ、流石に残弾も心許なくなってきたかな。」
追撃部隊の迎撃時に部隊からはぐれてしまった為に補給を受けるが暇がなく、単独での連戦にいよいよ機体が限界を迎えようとしている。
「いやいや、諦めちゃダメ。
思ったほど連邦MSの練度は高くないし、何とかなるよね」
ネガティブになりそうな思考を頭を振ってリセットする。
『だ、誰か助けてくれ!!
直援がやられた!!
連邦のMSがすぐそこまで来てる!!
このままじゃ飛び立つ前にやられちまう!!』
無線から悲鳴にも似た声が急に轟く。
「・・・あっちか」
僅かな思考の後迷うことなく愛機を通信のあった走らせ始める。
HLVを視界に捉えたとき既にジムの一機がHLVを撃たんとしている瞬間であった。
「間に合えええぇぇぇ!!」
咄嗟にヒートロッドを伸ばす。
それは的確に武器持つ腕を捉え、切り飛ばす。
間一髪で放たれたビームはHLVをわずかに逸れ、空へと消え去っていく。
「てええぇぇい!!」
急な割り込みに対応が遅れるジムにバーニアで加速した勢いを乗せて跳び蹴りを喰らわせる。
倒れ込んだジムのコックピットにフィンガーバルカンを撃ち込み留めを指す。
『……と…!
……かった!!』
目前でカウントを終えて飛び立って行くHLVをノイズまみれ通信を聞きながら見送る。
「あーあ、行っちゃったかー」
特に後悔する様子もなく見上げた後、向かってくる後続のジム二機を見据えバーニアを吹かし始める。
「とりゃあぁぁぁぁ!!」
ジム隊のマシンガンの弾幕を小刻みな左右移動とシールドで致命傷を避けて肉薄する。
一気に接近したことで反射的にシールドを構えた右側のジムに勢いのままシールドバッシュの要領で体当たりをして弾き飛ばす。
僚機が弾き飛ばされたことで側面を取られたもう一機が対応するより早くヒートソードで袈裟斬りにする。
対象の撃破を確認する間もなくヒートソードを持ち直し倒れ込んだジムに投擲する。
投擲されたヒートソードはジムのシールドごとコックピットを貫く。
「はぁぁぁー・・・」
二機のジムを撃破し大きく息を吐く。
「まだ、いける、かな」
被弾が積み重なりつつあるが未だ答えてくれる愛機の状態を再確認する。
「早く移動しないと」
再び連邦軍が集まってくる前に移動すべく先程投擲したヒートソードを拾う為にしゃがみこむ。
「ッ!にゃぁぁぁっ!!」
その瞬間複数の小型ミサイルがヒートソードを拾おうとした腕に直撃する。
咄嗟にシールドを構え身を隠しつつ周囲を伺うと、陸戦型ジムが三機接近しつつあるのが見える。
きちんと連携した動きからベテランであることが伺える。
ここまでの戦闘でシールドも限界に近付いており、長くは持たないことは明白であった。
「ここまでかぁ…ん?」
いよいよ最後を覚悟したとき、自分とジム小隊間の間に背後から数発のバズーカ弾が着弾し土煙が視界を遮る。
振り返ろうとした瞬間赤いMSが凄まじい速度ですり抜ける。
突如現れた新たな敵機にジム小隊が反応し迎撃するが、尋常ならぬ高機動で弾幕を掻い潜り接近していく。
ジムの一機がビームサーベルを片手に前進してくると、両肩のバズーカを放棄して腰のショットガンとチェーンマインを抜き放つ。
ビームサーベルのひと振りを脇をすり抜けるようにかわしそのまま背後からチェーンマインを巻き付け、反対のショットガンで二機目の頭部を吹き飛ばす。
更に勢いそのままに回転しながらビームサーベルを逆手に抜き三機目のジムをすれ違う様に両断、最後に頭部破損からようやく立ち直った二機目のジムのコックピットにビームサーベルを突き刺し止めを刺す。
長いようで短い一瞬の静寂の後戦闘態勢を解いた赤いケンプファーが様子を伺う様に振り返る。
(赤いMS、赤い彗星?
でもオデッサに参戦してるなんて聞いてないけど…)
「あ、あの、ありがとうございます」
状況に混乱しながらも話し掛けると、明確な返答こそ無かったものの片手を上げて合図をすると再びバーニアを吹かして何処かへ飛び去っていってしまう。
「何者だったんだろう」
首を傾げていると一本の通信が舞い込む。
『こ…ら、……隊
…番か…う庫で脱出可能な潜水艦を確保。
連邦軍の追撃が迫っているが取り敢えず今は安全が確保出来ている。
ギリギリまで待つが次の便があるとは限らない、この通信を聞いた者は大至急合流せよ。』
脱出手段の確保
この通信は折れかけていた心を立て直すには十分だった。
「お願い、もうちょっとだけ頑張って」
いよいよダメージも限界に達しているグフだが、パイロットの思いに答えるように再び立ち上がる。
「よしよし、なんとか合流まで持ちこたえてね」
簡単なダメージチェックを終えると通信のあった合流地点へと歩き始める。
「さあ、二人で生き残るぞ」
to be continued?
おまけ
姫熊少尉は無事友軍と合流し、キリマンジャロベースへ撤退
その後の詳細な戦歴は不明であるが、アフリカ地域の一部でピンク色のMSによる連邦軍部隊の襲撃報告が多数ありその神出鬼没さから現地部隊に”薄紅色の人喰い熊【ローゼンベアー】”と呼ばれており同少尉の搭乗機と推定される。
姫熊りぼん少尉オデッサ防衛戦戦績
MS撃破数 13
61式戦車撃破数37
簡単キャラ解説
・姫熊りぼん少尉
第一次地球降下作戦以降ユーラシア大陸東部で従軍したベテランパイロット
・ピンクカラーグフ
姫熊りぼん少尉の愛機
専用化改造はなされていないものの、パイロットの強い要望によりカラーリングのみパーソナルカラーが施されている。
・赤いケンプファー
所属不明のエース一体何ヤスなんだ。
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