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2015年9月26日土曜日

【小説のようなもの】第11弾 常闇の妖怪

キャラ崩壊
東方二次創作
ちょっと残酷表現あるかも?
捻りの欠片も無いド定番な展開
ちょっとCP要素?






某日夕方
迷いの竹林外縁
ミスティアの屋台

「ミスチーお腹減ったぁー」

屋台のテーブルにベタァっと倒れ込んで唸っているのは宵闇妖怪ルーミア
どうやら屋台の匂いにつられたらしい。

「いやいや、
 まだ今日は開店したばっかりだから余り物で何かって訳にはいかないって」

困り顔で諭しているのは店主ミスティア・ローレライ
どうやら普段から閉店後の余り物でルーミアに料理を振る舞っているらしい。

「女将ー、焼き八目鰻もう一本ちょうだい。」

ルーミアの横で素知らぬ顔で日本酒片手に焼き八目鰻を頬張っているのは、
竹林の案内人藤原妹紅
この屋台の常連の一人である。

「はーい、もう少しで焼けるからちょっと待ってくださいねー。」

さすがに常連だけあって妹紅いつもどの程度食べてから帰るか把握しているらしく、
すでに追加の分を焼いている。
だが、その焼ける匂いは目の前にいる妖怪にはなかなか拷問であった。

「ミスチ〜〜」

「う・・・ダ、ダメだってば。」

目を潤ませて声をかけてくるルーミアに一瞬心が揺らぐも、そこはミスティアも商売人
譲りにくいところ。

ちなみにこの問答を少なくとも10分ほど繰り返している。
妹紅が来た時にはすでにルーミアが居た為、それより前から繰り返していた可能性も否定できない。

「はあ・・・。
 女将、私が奢るから5本ばかしルーミアに八目鰻食べさせてあげて。」

さすがに素知らぬ顔も限界だったのか、妹紅がため息とともに小銭を出す。

「別にいいんですよ、妹紅さん。
 どうせ後でいろいろ食べるんですから。」

なんだかんだ言いつつも妹紅から小銭を受け取り、
何本か八目鰻を焼き始めているところがミスティアの甘いところである。

「もこ〜、ありがと〜。」

ダキューっとルーミアが妹紅を抱きしめようとするも、
体格的にルーミアより手の長い妹紅が頭を押さえて空振りさせる。

「ま、私もルーミアにはそこそこ世話になったからね。」

「え?ルーミアにですか?」

妹紅の何気ない一言にミスティアが反応する。

「まあ、私も訳ありだからね。」

「そうなんですか、大変なんですね。」

興味を示したミスティアだったが簡単に流してしまう、こういう商売は余り立ち入った話しをしないのが鉄則というものだ。
妹紅もそれ以上話す気は無いらしく、新しく焼けた焼き八目鰻を頬張るだけである。

「はい、ルーミア。
 焼けたわよ。」

「わーい、ありがとー。」

ミスティアが差し出した焼き八目鰻を嬉しそうに受け取るルーミア、
その笑顔だけでミスティアもほっこりしてしまうほどだ。

「ああそうだ、女将。
 最近人里周辺で妙なのが彷徨いてるって話があるけど聞いてる?」

「うーん、聞いてませんよ?」

キョトンとするミスティアに少し真面目な表情で妹紅が話し始める。
曰く

「最近、人里からあぶれた連中と素行の悪い野良妖怪が結託して、
 外れの村やら輸送隊やらを襲撃してる。
 慧音も困ってるみたいで、近く退治屋連盟から討伐隊を出すらしい。
 女将も気をつけたほうがいいよ。」

とのこと。

「私だってそれなりに名のある妖怪ですからね。
 野盗程度に遅れは取りませんよ。」

ミスティアはそう言って笑顔であった。








次の日 深夜
人里の外れ 魔法の森方面

「うーん、ちょっと遅くなっちゃったなぁ。
 その代わりいい商売させてもらったわ♪」

少しご機嫌な様子で帰路につくミスティア。
この日はアリスと魔理沙、霊夢の三人が夜中まで酒盛りしていたのである。
屋台の食べ物とお酒を全て平らげて行ったので大繁盛である。

「その代わりルーミアの分なくなっちゃったな。
 明日サービスしてあげようか。」

そんなことを呟きながら一番手近な住処のある魔法の森に入ってすぐの事である。

「・・・夜の森は私の縄張り。
 わかってて来てる?」

言うが早いか、魔法の森に美しい歌声が響く。
人間、妖怪問わず聞いた者を盲目とする夜雀の歌。
たとえ姿が見えなくとも音は届く、決して逃がれる事はできない。
しばらくすると何人かの人妖が木の上から落ちてきたり、木陰から現れたりする。

「ふふん、たいした事無いわね。
 妹紅さんも心配しすぎ。」

そう言うのと彼女に黒い影が重なったのは同時だった。

「っ!!」

咄嗟に飛び退いて躱したものの、一撃で屋台が粉々になる。

「ちょ、なんで。」

ミスティアが見たのは巨大な体の”目の無い”妖怪だった。

「嘘、でしょ?」

余りの事に身動きの取れなくなってしまった彼女に向かって、妖怪は巨大な拳を振り下ろす。

「〜〜〜っ」

余りの恐ろしさに目を瞑り縮こまる。
次の瞬間凄まじい衝撃音が鳴り響く。
が、その拳は彼女に当たってはいなかった。

衝撃による砂煙の中ミスティアと巨体の妖怪の間にもう一つ人型のシルエットがある。
金色の長髪、深い暗闇の羽、十字架のような形の剣
そして、殺意と圧力が放出された赤い瞳。

「ミスチー、目、開けないでね?
 この姿は友達には見られたくないから。」

優しい、けれどどこか遠い声がミスティアの耳に届く。

「ルー、ミア?」

それだけ呟くとミスティアは気絶してしまう。

「さて、私の友達の大事な屋台の仇取らせてもらおうか?」





「っ痛、くそ、甘く見たぜ。
 ・・・!!」

先ほど鳥目にされた野盗の一人がようやくその症状から解放され、真っ先に見たのは恐ろしい光景であった。

野盗集団で最も腕のたった妖怪が、光も飲み込むような漆黒の何かに飲み込まれていくのである。
それを振り払おうと腕を振り回しても決して離れず、少しずつ着実に飲み込んでいく。
最後には全身が飲み込まれる、そして側にいる謎の金髪の女性が触れるとその部分から吸い込まれるように消えていく。
女性は一連の事柄を笑顔で行っていた。
邪悪で、殺意に満ち、それでいて嬉しそうな笑顔で。
しかもその女性が自分に気付きこちらに近付いてくる。

「あ、あ、あ・・・。」

最早声も出ない、叫び声を上げる事も、命乞いすら許されないような圧力。

「思ったより早く治った奴がいるね?
 ちょうどいい、お前たちの持ってる金目の物の在り処、全部教えな?
 さっきの奴みたいにはなりたくないだろう?」

抵抗の余地はなかった。






「ん・・・。」

「あ、起きたかー?」

ミスティアが気がつくと視界一杯にルーミアの顔があった。

「ひゃあ!!」

びっくりして飛び起きようとしたせいでルーミアと思いっきり頭をぶつける。

「「いったぁ〜。」」

見事にハモりつつ二人揃って悶絶する。

「こらこら、お前達何してるんだ全く。」

少し呆れたような声が聞こえる。
とても覚えのある声だ。

「慧音先生?
 じゃあここって。」

「うむ、私の家だ。
 驚いたぞ?夜中に突然ルーミアがお前の事おぶってきたんだからな。」

「え?あれ?
 私確か、あれ?」

目を白黒させて状況把握しようとするが、どうにも頭が追いつかない。

「まあとりあえずゆっくり休むといい。
 屋台も無事だったんだからな。」

「え!!
 屋台は確か・・・あれ?」

「表にあるから、落ち着いたら持って帰るといい。
 ルーミアとミスティアのお陰で野盗共の住処がわかったんだ。
 日が出ているうちに終わらせておかないとな。
 妹紅、あとは頼む。」

そう言って慧音は家を出て行く。

「気をつけてなー。
 さてと、色々状況把握に困ってるみたいだから一つずつ説明しようか。」

妹紅曰く

深夜、慧音の要請により野盗退治に行ったところ、鳥目状態の野盗達とミスティアの屋台があった。
全員捕縛したのち、尋問したところ野盗の住処が判明。
これから急襲するところらしい。

「何はともあれ怪我がなくてよかった。
 ミスティアのお陰で野盗共も大した人数残ってないだろうし。
 今回の件は一件落着といったところだ。」

一通り説明を終えると、ミスティアにもう少し寝ているように言って部屋を出て行く。

「ねえ、ルーミア」

「んー?」

「あなた・・・ううんなんでもない。」

「??」

ミスティアの言葉に首をかしげるルーミアの姿に全部どうでも良くなってしまう。
自分の体験と事実が少し食い違うが、全て綺麗にまとまっている。
それに夢か現実かは分からないが、あの時のルーミアは自分にあの事実を知ってほしくなさそうだった。
ならそれでもいいじゃないか、ルーミアは大事な友達だから。
今目の前にいつも通りなルーミアがいる、それが結果だ。

「ルーミア」

「なに?」

「今日・・・は無理かな。
 明日何か奢ってあげる、何食べたい?」

「八目鰻丼!!」

「うちの屋台で一番高い商品選んだなー。」

「えへへー。」

「明日、ちゃんと来なさいよ。
 待ってるから。」

「うん!!」







こうして幻想郷でまた一つの小さな事件が解決した。
不可解なことも幾つかあったものの、結果的には全てが元どおり。
これが幻想郷における”事件”のあり方である。









〜おまけ〜


妹紅「なあルーミア?」

ルーミア「ん〜?」

妹紅「ミスティアの様子からすると、屋台は壊されてたっぽいが、何かしたか?」

ルーミア「ちょっと友達にお願いした。」

妹紅「お願い?」

ルーミア「お金渡して屋台直してって。」

妹紅「お金、ねえ。」

ルーミア「うん。」

妹紅(確か慧音が今回の件、被害のうち現物だけ回収できたって言ってたっけ。
   ・・・・・・まいっか。)





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ルーミアのかっこいいお話が作りたかった、そうしたらルーミスっぽくなってしまった。
でも結構いい作品になった気がする、うん。
多分、きっと、恐らく・・・。

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