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2015年1月2日金曜日

【小説っぽい何か】第5弾 幻想弾幕戦争6話「人里大戦」

この小説は私の動画シリーズの続きです。
まずそちらをご覧ください。
一話→ http://www.nicovideo.jp/watch/sm23993939




ズウゥゥ………ン

爆発音と共に小さな火柱が上がる。
そこには藤原妹紅が呆れた顔で立っている。

妹紅「全く、数ばっかりゾロゾロと。
   まあ、見事に慧音達と分断された私が言うのもなんだけどさ。」

そう言いつつ、新たに現れた人形兵を炎で一つづつ焼き払っていく。
人型で、それなりに統率のとれた動きをするとはいえ、所詮は土人形、妹紅の炎であっさりと焼かれていく。
だが、焼き払われた傍から新たな人形兵が現れて妹紅への包囲を決して崩さない。


妹紅「はぁ、慧音の方は大丈夫かなあ。」

心配しつつもどこか信頼しきった様子で言い放つ。





その頃、上白沢慧音率いる人里防衛部隊の方も劣勢を強いられていた。
慧音の能力と地理的優勢の二つを駆使してようやく戦線を保っているが、無尽蔵に湧いて出る人形兵により少しずつ士気を削られているのが現実である。

慧音「このままでは突破される、か。
   妹紅がいればもう少しなんとかなるのだが。」

そう言いつつもだからこそ分断する手に出たのだという認識も強まる。
妹紅一人で戦局がどうこう出来るとは言わないが、基本的に妹紅のスペルは派手なので士気の維持にはもってこいなのである。


義勇兵A「慧音先生!!このままでは湖側が突破されます!!」

慧音「なんとか持ちこたえてくれ、一箇所が突破されたら総崩れになるぞ!!」

現状、人里では湖方面・魔法の森方面・妖怪の山方面の三方向に防衛線が構築されている。
そもそも、人形兵はちょっとした腕自慢なら素手であっさり倒せるように出来ている為、きっちり守りを固めればそうそう突破されるものではない。
そして、魔法の森方面は初手から侵攻ルートとして想定しており、最も大きな防衛線を構築してある為、未だ崩壊の兆しはない。
妖怪の山方面も血の気の多い烏天狗や白狼天狗が追撃、掃討を続けている為比較的安定した戦線を維持している。
が、湖方面は元々紅魔館があるために手薄であり、想定よりも大きな被害を被った紅魔組が追撃を行わなかった為、紅魔館に向かっていた戦力がそのまま人里に叩きつけられる結果を生んだのである。

これらは多少のイレギュラー(紅魔館非陥落)があったものの全て主犯ナイトの計算通りであった為、お遊び程度で始まった異変でもそれなりに作戦が組んであった事が伺える。

いずれにせよ、三方面作戦を強いられている人里の義勇兵部隊は一箇所が崩れれば各戦線が孤立する為、里内まで後退せねばならない。
そうなれば物量で押し切られる事は間違いない。

慧音「仕方がない、奥の手として残しておきたかったが、使うならば今しかない。」
       国府「三種の神器 郷」

慧音がスペルカードを発動し、各方面にセッティングしてあった剣・玉・鏡を一斉に起動する。

魔法の森方面に設置されていた鏡は弾幕攻撃を全て反射し
妖怪の山方面に設置してあった玉は義勇兵達の弾幕攻撃の威力を上げ
湖方面に設置してあった剣は相手に向けて大量の弾幕を放つ。

一時的にルール変更されたスペルカードルール上では、名が表す効果をそのまま発揮する事もできる。
つまり、より実戦的になり、美しさが少し減ったのである。

とにかくそれにより戦線が一気に息を吹き返すと思われた。

「各方面より大規模の伏兵が出現、魔法の森方面の防衛拠点一部破損、湖方面の防衛線
 崩壊、妖怪の山方面の戦局一変」

この一報が届くまでは。






妹紅「いや参った。まさか私がここまで追い込まれるとは。」

妹紅は現在、迷いの竹林近くにまで追い遣られていた。
竹林の中では無闇に火は使えない、燃え移る可能性があるからだ。

妹紅(まあ、輝夜に迷惑を掛ける為に態と火をつけても良いんだがな。)

勿論そんなことはしない、妖怪の山も近いため山火事になれば大災害だ。

妹紅「あ〜あ、ゴメン慧音。
   私はここまでみたい、もう少し力になれると思ったんだけどなあ。」

本当に申し訳なさそうな顔で呟く妹紅に人形兵が弾幕を構える。
いくら生き返れるとはいえ「リザレクション」する度にかなり体力を持って行かれる以上この弾幕斉射を食らえばもう動けないだろう。
そう思い目を閉じた瞬間

??「藤原妹紅、あんまりだらしないと姫様に笑われますよ。」

赤い光が一瞬で複数の人形兵を打ち砕く。

妹紅「なんでここにお前が来るんだ?」

妹紅は振り向きもせずにそう問いかける。

??「お師匠様に人里まで御使いを頼まれたのよ。」

赤い瞳のうさ耳少女は好戦的な笑みと共にそう答える。








慧音「ここまでか、魔理沙、妖夢、すまんな。」

報告を聞いた慧音は肩を落として里内までの後退指令を出そうとした
その時である。

ズドォォォォォン!!

地響きがするほどの大音量が響き渡る。

慧音「何事だ!!」

慌てて周囲を見回すと、圧倒的な光の余韻が魔法の森方面と湖方面に見える。

慧音「一体、どうなってるんだ?」

こうなってはもう慧音はただ困った顔をするだけである。






湖方面

??「ご主人、あまり目立った行動は避けて欲しいものだね。」

小柄で笠を被った少女は呆れたような、諦めたような、そんな声色で隣に立つ少し背が高く、同じく笠を被り、袈裟を着た人物に声をかける。

??「申し訳ありません。
   あの様に困っている人々が居るのに素通りは出来なかったもので。」

義勇兵を背に、多数の人形兵を正面にして全く動じない声で返す。

??「全く、ご主人もあの方もどうしてこうお人好しなんだろうな。」

小柄な少女も何でも無いかの様に言い放つ。

??「では、参ります。」
     法灯「隙間無い方の独鈷杵」






魔法の森方面

??「ふふふふふ、こんな玩具でどうしたいのかしらねえ。」

凶悪な笑顔と花の形の傘を共に義勇兵達に見向きもせず大勢の人形兵の前に立つ。
彼女は人里にとっては恐怖の具現である妖怪。

義勇兵S「か、か、風見、幽香」

幻想郷に於いても最強クラスの一角と言われる彼女が現れたというだけで義勇兵達は里の方へ逃げ去って行く。

幽香「さて、折角だし私と少し遊んで頂戴な。」
      「フラワーシューティング」







魔法の森

ラスト「・・・風見幽香、なんであいつが出てくるんだ?
    今回参戦理由は無い、筈なんだが。
    それになんだあの僧侶は、一般人にしてはえらく強い。
    どうしたものかな。」

人里攻略の指揮官たる彼は魔法の森の出口付近で戦況を確認し、次の策を練っていた。
各勢力に攻撃をかけていた指揮官は全てお飾りのコピーであり、人形兵の亜種である。
だが、彼は紛れもなく本物であり、人里攻略部隊が有機的に動いている要因である。

??「頭を使っているなら甘い物でも如何かしら?」

彼の後ろから人間の頭ほどの人形を引き連れた少女が姿を表す。

ラスト「それはいい、ちょうど美味しいクッキーが食べたいと思っていたんだよ。」

そう言って振り返る彼の表情は完全に臨戦態勢である。

??「じゃあ、人形もつけてプレゼントするわ!!」

少女の一言と共に人形の一つがランスを構えて突撃する。

ラスト「人形は間に合ってるんでね、っとっと」

そう言いつつ突撃してきた人形をひらりと躱す。
が、躱した瞬間人形が大爆発する。
彼の体はバラバラになり、辺りに散らばる。

??「遊んでないで出てらっしゃいな。」

少女は油断なく誰もいない空間に声をかける。

ラスト「アリス・マーガトロイド、幻想郷の人形使い。
    油断ならんなぁ。」

どこからともなく現れてそう返す彼の体には傷らしい傷は見当たらない。

アリス「・・・精神だけ移動させて体は挿げ替え可能?」

特に不思議がるわけでもなく確認するように問いを投げかける。

ラスト「さあねえ、試してみればいい。」

悪戯っぽい笑みをこぼしながらスペルカードを放つ
      不死「無限の魂 永遠まで」

アリス「じゃあまず試しに周りのあなたの人形は全て壊しててみましょうか。」
      戦操「ドールズウォー」







これらの事態が発生してからおおよそ1時間後。


ラスト「ゲホッ、はいはい、降参降参。」

地面に座り込んで両手を挙げ降参している彼の姿があった。

周りにはアリス、幽香、妹紅、鈴仙、慧音の5人が居た。
各自、槍を突き付けたり、銃を向けていたりと見るからに勝敗は決していた。

ラスト「まさか本当に人形兵全部壊すとは思わなかったよ。」

呆れた顔で彼は言う。

アリス「だから言ったでしょ。試しに壊してみましょうか?って」

なんでも無いかのような顔で答える彼女も流石に少し疲労の影が見える。
というよりも幽香を除く全員が疲れたような表情をしている。

ラスト「・・・ま、後は今回の異変の主人公たちに任せようか。」

意外としれっとした顔で彼は言い放つ。




こうして人里における戦いも決着した。











その頃の主人公組


魔理沙・妖夢「・・・・・・・・・」

二人の目の前に広がっているのは、紅魔館もすっぽり入りそうな巨大な城塞であった。
かなり老朽化している様に見えるが城壁に人形兵が配備されている所を見ると未だ現役の様子である。

魔理沙「いや、デカイなこれ。
    魔法の森にこんなのあったのか、初めて知ったぜ」

妖夢「私達だけでこれを攻略するんですか?
   さすがに厳しくないですか?」

困惑しながら話す二人が城塞の門に近付くと、待っていたとばかりに開く。
門の向こうには、少し小柄な少女が人の悪い笑顔と共に立っている。

??「初めましてかな、お二人さん。
   悪役の定番台詞だけど、此処を通りたかったら私を倒していきなさい!!」

魔理沙・妖夢「えぇ〜。」

ドヤァ!!と言い放つ少女に魔理沙と妖夢は唖然とするしかない。

??「とまあ、結論だけ言ってもどうにもならないわね。
   私はクイーン、今回の異変の首謀者の妹よ。」

クイーンと名乗った少女が言い切った瞬間、魔理沙と妖夢の頭上から何本もの剣や槍が雨のように降ってくる。

魔理沙「うわ!!」

妖夢「っく!!」

魔理沙は箒に乗り武器の雨を掻い潜り、妖夢は楼観剣と白楼剣の二振りを抜いて切り払っていく。

妖夢「魔理沙さん!!そのまま駆け抜けてください!!
   ここは私が!!」

魔理沙「了解だぜ!!」  彗星「ブレイジングスター」

妖夢の声に反応して魔理沙がクイーンを無視して突破しようとする。

クイーン「行かせない!!」  剣舞「百花繚乱」

スペルの発動と同時に彼女の周囲に出現した無数の武器が、魔理沙に向けて打ち出される。

      人鬼「未来永劫斬」
妖夢「・・・貴女の相手は私です。」

双剣の一振りで魔理沙に向かっていた武器を切り払って言う。
その一瞬で魔理沙は城の中に消えている。

クイーン「あ〜あ、行っちゃった。
     まあいいや、貴女を倒して追い掛ける事にしよっと。」

両手に三本ずつ剣を持ち、妖夢の方を向く。
その表情は好戦的というより、悪戯を企む妖精の様である。




妖夢達が戦いを始めている頃、霊夢達の方は決着がついていた。

霊夢「ハァ、ハァ、ハァ。
   思ったより粘ってくれたわね。」

霊夢はかなり疲労した様子ではあるものの、特に被弾した様子はない。

ルーミア(EX)「まさか一発も当たらないと思わなかったよ?
       私もちょっと熱くなり過ぎたし、この辺で諦めようかな?」

ルーミアの方は特に疲労した様子はないが、どこか悔しそうな表情をしている。

霊夢「その疑問系の喋り方、だんだんイラついてくるわね。
   とにかく、早く魔理沙達と合流しないといけないし、失礼するわ。」

そう言って霊夢はルーミアに背を向けて飛んでいく。

ルーミア(EX)「全く、今代は本当に妙な巫女だよ。
       彼奴が興味を持つのもなんとなく分かるかな?」

そういうとルーミアの周囲は暗闇に包まれ、「疲れた〜」という声と共に飛び去っていく。



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今回はここまで、次回からは主人公組がメイン。
この異変は無事に止められるのか!!

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